ゆーるるのゆるゆる日記

二児のワーママのブログです。

【感想・レビュー】「仕事と家庭は両立できない?『女性が輝く社会』のウソとホント」にはキャリア女性の葛藤が詰まっていた

こんにちは!ゆーるるです。

先日読んだ本が、出産を経験する自分にとって、かなりタイムリーな話題でとても刺激になる本だったので、感想をまとめてみました。

すでに妊娠中・子持ちの方はもちろん、結婚や出産なんて先のことすぎて考えられない!って時期にこそ読んでほしい内容になっています。

「家庭と仕事は両立できる」の幻想

この本が書かれたいきさつ

この本の著者の アン=マリー・スローターさんは、アメリカでウーマンリブ運動が起こり、女性の社会進出が活発になり始めた頃に生まれ育ち、「女性も全て手に入れられる」と教わってきた世代です。

その言葉通り、自分のキャリアを追って大学教授になり、学長になり、政府の要職にも就く、まさしく「キャリアウーマン」といった華々しいキャリアを積んでいました。

ところが、2人の子供が中学生になり反抗期に差し掛かったことで、家庭に戻ることを選択を取りました。

その時に、「女性も全て手に入れられる」ことに違和感を持ち始めたこともあり、この本を書かれたようです。

仕事を優先すると、家庭はおろそかになる

どうしても出世を狙おうとすると、仕事にかける時間の比重は大きくせざるを得ないし、さらに転勤が絡んでくると、家庭の仕事はどうしてもおろそかになるのが現実です。

だから、もう1人が家庭の仕事の比重を増やすしかない。

(ここはあくまでもアメリカのホワイトカラー環境の話ですが、今の日本も似た環境だと思います)

この著者の身の回りの事例でも、選択に迫られて家庭の比重を増やすのは圧倒的に女性が多いようです。

逆に、女性でもトップの地位に立てている人は、夫が家庭に入っていたりする。(少数派ですが)

日本では「家庭の仕事を分担しながら2人とも同じくらい働く」というのが最近の理想の夫婦の形になってきているように思いますし、私自身そういう考えを持っていました。

でも実際問題、完全な等分でというのは無理があるのだなぁと改めて感じさせられました。

本当に等分を実行しようとすると、たぶん仕事も家庭も中途半端になるから、比重を分けるというのは合理的ではあると思います。

キャリアを優先する時期を交代で取る

著者の考えとしては、別にどちらかがキャリアを完全に諦める必要はないけど、全く同じタイミングで選ぶことはできないだろうということ。

その代わりに、仕事に力を入れる時期を交代で取れたらいいよね、という視点でした。

わたし自身、少し前まではキャリアもプライベートも全て手に入れることこそ至上。という意識がどこかありました。

まぁ実際のところは全然バリキャリでもなんでもないんですが、それでも共働きになるとしたら、夫婦で家事も育児もうまく平等に分担してやっていけたらなぁ、とぼんやり考えていて。

でもこの本を読んだら「完全な分担はあくまでも理想論」と感じるようになりました。

男性への思い込みをやめよう

男性も性役割を押し付けられている

この本で印象的だったのは、男性側の視点にも触れていることです。

女性は子育てをするもの、家事をするもの、という役割の押し付けを感じるのと同じように男性も、外に出て稼ぐもの、家の仕事は男の仕事じゃない、という役割の押し付けにさらされていると。

確かに、男性側の家事育児への積極的な参加を声高に求める昨今ですが、「男が稼ぐ」ことは大前提に置かれているような印象があります。

女性の立場としては、稼いでくれて、家事育児もやってくれて、だと最高なんだろうなと思いますが(笑)

でもそれって、女性が働きながら家事育児もやれって言われてるのと同じ話だな、と改めて感じています。

沢山稼いで、家事育児もしろってなったらそりゃプレッシャー大きいだろうなと。

男性が家庭に入ってもいいよね

妻のキャリアアップをサポートするために、専業主夫の道を選んだ人のエピソードにも言及があるのですが、アメリカ社会の目は冷たいそうです。

公園にいけば母親ばかりで、父親が家庭にいるのは、失業しているか障害があって働けないから仕方なく、だと思われるとか。

最近の日本でも、母親であれば当たり前と思われることを、父親がやったというだけで「すごいね」と褒められやすい風潮がありますが、逆にそれを屈辱的に感じるだとか。

女性側も、男性が家庭に入る選択肢があってもいいということを、これからもっと受け入れていったほうがもっと選択肢が広がるのでは、と思います。

社会の意識が変わらないといけない

ネットのまとめとかツイッターを見てると、男女ともに家事育児は女性の仕事、という思い込みが強い人が多数派のように感じます。

それってメディアの影響もあるだろうけど、遡れば親世代からの刷り込みが大きいと思うんです。

著者のアン=マリー・スローターさん自身、男児2人のお母さんですが、無意識に家庭の家事はあまりさせてなかったと言及がありました。

ちょっとしたことでも、そういうなんとなくの意識の積み重ねが、今の性役割認識のベースを作り出しているんだろうなと。

男の子の親になる立場として

わたしはこれから男の子を育てることになるので、自分の子にはフラットな視点を持つように育てたいなぁと思っています。

女の子を育てることになったとしても同様です。

男女ともに、自分で稼ぐ力をつけるのは大切なことだし、もし家庭に入りたかったら、それは男でも女でもいいんだよって教えたい。

育児・家事は女だけの領域じゃない

よく言われるのは、「女はマルチタスクが得意で、男は一つのことに集中するのが得意」ということで、著者も実際に生活の中でそれは感じるそうです。

でもそれは、女が男より家事育児が得意な理由にはならない。

当然、性差があるからやり方には違いは出てくるけど、男性も女性と同じように家事も育児もできる、と言っています。

男性に家庭の仕事を任せるときは裁量を持たせよう

ただ、女は男性に任せるときに注文をつけすぎだと。それで男のほうは嫌になってしまう。

自分が仕事をしているところを想像してみても、全部指図されて裁量が全くない仕事って、全然楽しくないです。

それと同じように、男性に家事育児をやってもらいたければ、自分のやり方でやってもらうのがベストなんだとこの本では言っています。

女性側の意識改革も必要

家庭の仕事を「自分ごと」として捉えられない男性っていうのは、たぶん自分の親や奥さん自身が、家庭の仕事を女の仕事として先回りして対応していたからじゃないかな、と感じるんです。

経験が少なくていきなりやらされても、上手くできるわけがない。

今まで女として生きていて、男性だけでなく女性視点からも、「女は家事くらい当たり前にできないと」って無言の圧力を感じることがありますが、これこそ良くないなぁと思っていて。

男性を家庭の仕事に参加させたいのなら、女性側こそ、「家事育児は必ずしも女がやらなくてもいい」っていう意識改革をするべきだと思っています。

「ケア」に相応の対価が支払われる世の中になってほしい

保育や介護といった、昔から「女性の問題」として扱われていたものは総じて「ケアの問題」として捉えられる、と著者は言っています。

保育・介護は直接GDPには反映されないから軽んじられがちだけど、「人を育てる・支える」って意味では、遠回りでもGDPに貢献している。

特に出産や保育は、将来の稼ぎ手の増加に貢献しているのですから、もっと地位が上がってもいいと思います。

「専業主婦」というくくりになってしまうと、どうしても直接的にはお金を稼いでいないから世間には認められず、自分自身も価値を感じられなくなりがちです。

「ケア」という仕事の価値がもっと高められて、「専業主婦=ケアする人」として認められれば、男女ともに自信をもって家庭に入れるし、パートナーの仕事を支えることもできるんだろうな、と思います。

育児期間をインターバル期間として考える

かといって、仕事を辞めてしまうと、再び同じ道に戻るのは難しいとも著者は言っています。

育児にたくさんの時間を割くのは、長期的にみればあくまでも一時期の間だけ。

だから、可能なら「キャリアを先延ばしにしよう」と言っています。

スポーツ選手でも、激しい練習の間にはインターバルを挟む。そうしてより激しい練習に集中できるようになると。

育児期間を社会からのドロップアウトではなく、インターバルとして捉えるのは新鮮な視点だなあと思いました。

今は、育児を中心に家庭を頑張りたいという思いが強いですが、実際独り立ちしたときに何もできない自分ではなくて、自分自身の人生を楽しく生きるための何かを得ていたいなぁと思います。

まとめ

ジェンダー、男女の分業、フェミニズム、男女平等社会などなど。。これらのワードは、自分自身大学時代から興味の高いキーワードで、個人的な結論としては、「規制の概念にとらわれない、新しい家族像を創造し、新しいコミュニティを作っていくべき」という考えをこれまで持っていました。

その上でこの本は、男女平等社会や、育児・介護問題をテーマとした、最先端の考えがまとまっていると感じます。

決して、明確な答えが書いてあるわけではなく、どちらかというと問題提起の段階ですが、ウーマンリブによって「Ms.」が生まれたように、LGBTの運動によって同性婚がスタンダードになってきたように、近代の性別的分業にとらわれない新しい家族・夫婦の形、保育や介護の地位向上がスタンダードになっていけばいいなぁと感じます。

また、その活動の一端に自分も何かしらの形で関われたら楽しそうだなぁと思いました。


仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント